連結業績
2022年11月期連結累計期間(以下、当期)の売上高は、1,474億23百万円(前期比で33.0%増収)、経常利益は31億34百万円(同 16.9%増益)と増収増益となりました。
新型コロナウイルス感染症(以下、「感染症」)の感染者数は再度増加しましたが、「ウィズコロナ」のもと、行動制限措置は発せられず経済活動は回復傾向が続きました。
国内の食品業界においては、外食・レジャー産業に客足が戻りつつあり、業務用の食品原料の需要は回復基調となっております。
一方、感染症発生以降、国内の乳製品市場では国産脱脂粉乳の在庫過多の問題が継続していること、世界の商品市況高、円安の進行を背景に食品価格の値上げが相次ぐ中で、消費者の買い控えの動きが顕在化しつつあることなどにより、需給環境は完全な回復には至っておりません。
このような状況のもと当社グループは、グローバルな調達ネットワークを最大限に活用し、原料の安定調達と価格優位性のある商品の提案などに注力しました。また、継続する国産脱脂粉乳在庫の問題に対処すべく、アジアのグループ会社との連携による輸出対応なども含め、国産原料の拡販にも努めました。その結果、各部門とも販売数量は底堅く推移し、さらに円安進行もあり、売上高は過去最高となりました。増収効果により、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益についても、前年同期を上回り最高益を更新しました。
なお、当期の経常利益にはプラス方向の為替の影響が117百万円含まれており、その影響を補正すると、調整後の経常利益は30億16百万円となります。これは同じベースで補正した前期の経常利益27億59百万円に対して、実質的には9.3%増益となります。
親会社株主に帰属する当期純利益は22億86百万円(前期比16.7%増益)となりました。
連結経営成績(累計)
2021.11期 | 2022.11期 | 増減率 | |
---|---|---|---|
売上高 | 110,883百万円 | 147,423百万円 | 33.0% |
経常利益 | 2,681百万円 | 3,134百万円 | 16.9% |
経常利益に含まれる 為替影響額 |
▲77百万円 | 117百万円 | - |
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
1,959百万円 | 2,286百万円 | 16.7% |
【参考情報】
・棚卸資産の増加に関する補足説明
前期比で棚卸資産が増加しておりますが、これは原料価格の高騰および円安の進行により、仕入価格が上昇したことや、経済活動再開にともなう販売契約の増加によるものです。当社の棚卸資産は原則、販売に紐づいており、在庫リスクは抱えておりません。
・営業CFについての補足説明
当期においては、原料価格の高騰および円安の進行に伴う仕入・販売価格の上昇基調が続いていることにより運転資金が増加しており、その影響から営業CFはマイナスとなりました。当社の営業取引循環は、仕入⇒在庫⇒販売となるため、原料価格が継続して上昇している場合や、事業そのものが拡大している場合などは仕入金額が増加します。このような運転資金の増加が利益額を上回ることがあり、その場合は当社の営業キャッシュフローはマイナスとなる場合もあります。

2022年11月期 第4四半期(9月~11月)
当第4四半期会計期間の乳原料・チーズ部門において、売上高は264億65百万円(前年同四半期「以下、前年同期」比23.2%増)、販売数量は41,877トン(前年同期比15.1%減)となりました。
事業概況
◆インバウンド規制の緩和や全国旅行支援などにより、外食・レジャー産業の需要が活性化し、乳製品の業務用需要は底堅く推移。一方で、秋以降、原料高の影響により多くの食品において最終商品の値上げが実施されたことなどから、食品メーカー各社の購買姿勢が慎重となり、乳原料の販売数量は伸び悩んだ。
◆乳製品の国際相場は夏以降下落基調となったものの、円安の進行により輸入製品の販売価格は上昇し、国産原料に対する価格面の優位性は低下。そのため、一部取引先では、輸入粉乳調製品から国産脱脂粉乳に置き換える動きも見られた。国産在庫影響のないチーズ販売は堅調。
◆国産の脱脂粉乳在庫は引き続き余剰状態。しかしながら、生乳生産量が2022年8月以降前年同月比マイナスの状況が続いていることから、脱脂粉乳の生産量も減少、今後の在庫水準は徐々に適正化していくものと見込む。
当面の事業環境
◆国産脱脂粉乳在庫に関する需給緩和対策は継続。汎用品を中心に粉乳調製品の国産脱脂粉乳への置き換えは当面続く見込み。
◆国内の生乳生産が前年比減少傾向となっていることから、脱脂粉乳在庫の調整が進む見込み。需要回復が続けば、需給は逆に逼迫に転じる可能性も。
◆ただし、原材料価格の高騰を背景に、今後も食品の値上げが相次ぐ見込みであり、消費者の買い控えによる原料販売の数量への影響に注視が必要。

2022年11月期 第4四半期(9月~11月)
当第4四半期会計期間の食肉食材部門において、売上高は42億7百万円(前年同期比8.0%増)となり、販売数量は6,551トン(前年同期比2.0%減)となりました。
事業概況
◆米国の主要サプライヤーにおける労働力不足による供給力低下や、船積スケジュールの遅れなどは徐々に回復しつつある。国内需要も業務用需要などを中心に底堅く推移したことから、当四半期はポーク事業に関し復調の兆しが見えた。
◆生ハム・サラミなどの食肉加工品販売は、外食・レジャー産業の回復を受けて復調。
当面の事業環境
◆ポーク事業は供給の制約となっていた問題が徐々に解消するものと期待。
◆ポーク輸入価格は夏以降一服しているが、引き続き高値圏での推移となっており今後の動向には注視が必要。
◆牛肉や蜂蜜など新商品の販売では新規販売先の開拓が順調に進んでいるが、輸入価格の上昇、円安、さらには商品の確保がボトルネックとなる懸念も。

2022年11月期 第4四半期(9月~11月)
当第4四半期会計期間のアジア事業(乳原料販売部門)において、売上高は72億67百万円(前年同期比56.5%増)、販売数量は11,517トン(前年同期比13.2%減)となりました。
事業概況
◆本社乳原料部門と連携した国産脱脂粉乳の販売により、新規取引先の開拓などが進捗。
◆東南アジア地域向け販売(現地の食品メーカー向け、アジアで事業展開する日系企業向け)は底堅く推移。国際相場が急騰するなど乳製品の調達環境が大きく変動するなか、世界各国から安定調達が可能な当社の強みを発揮。
当面の事業環境
◆前期より、一部の乳製品においては輸入原料から国産脱脂粉乳へ置き換える動きが進んだため、当面、日本向けの粉乳調製品の原料販売は軟調を見込む。
◆日本の対策事業に関連した日本産乳製品の販売(輸出事業)は、新年度も継続の見込み。

2022年11月期 第4四半期(9月~11月)
当第4四半期会計期間のアジア事業(チーズ製造販売部門)において、売上高は10億92百万円(前年同期比22.0%増)、販売数量は1,206トン(前年同期比5.7%減)となりました。
事業概況
◆中国向けはロックダウンの影響により、販売数量は伸びず。
◆シンガポール、マレーシアなどではウィズコロナの経済回復が続き、販売は好調。
◆タイでは、製品価格の見直しにより、食品企業向けの販売が伸び悩んだが、コロナ禍からのリオープン需要が堅調となったフードサービス向け販売でカバー。
当面の事業環境
◆原料チーズやエネルギー価格の上昇をうけた製品価格の見直し交渉は、今後も継続予定。
◆中国向け販売は引き続き厳しい事業環境を見込むが、東南アジア地域向けは、フードサービス向けなどを中心に引き続き堅調な販売を見込む。
当社は基本的に為替リスクは負わないビジネスモデル
当社の基本的な取引においては、海外仕入先との外貨建て仕入契約締結と同時に、国内顧客と円貨の販売契約を締結しています。その際、仕入外貨額に対する為替予約をすることで為替リスクをヘッジしております。
但し、当社は外貨為替会計処理基準における原則法を採用しており、そのため会計上の表示が特徴的
その特徴は、営業取引の各段階に応じて、会計処理に使用する為替レートが異なるため、営業取引の途中段階において、会計上の為替差損益が生じる点です。
その結果、仕入契約時に為替リスクをヘッジした場合でも、営業取引の途中段階においては、為替差損益が、売上原価と営業外損益に分かれて計上され、営業外損益のみならず、売上総利益及び営業利益についても為替表示の影響を受ける場合があります。
その他、決算期をまたぐ取引の場合は会計上、為替差損益が先行して計上される場合がある
決算期をまたぐ取引(翌期以降に販売)については、仕入決済を行い棚卸資産として計上したものの、売上計上の時期が翌期となり、仕入決済にかかる為替差損益のみが先行して計上され経常利益に反映されます。
なお、下記の図解をご参照ください。
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(ご参考)図解:為替影響と当社の会計上の表示について (632KB)