事業概況
当第1四半期連結累計期間(以下、「当第1四半期」)におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善が進み、個人消費の持ち直しの動きがみられた一方で、物価上昇や米国の関税政策による世界的な景気の下振れリスクなどから先行きは不透明な状況が継続しました。
国内の食品業界においては、円安、原材料価格の高騰に加え、人件費、物流費をはじめとした各種コストの上昇などを要因とした最終製品の値上げが実施されたことにより、消費者の生活防衛意識は高まりをみせるなど厳しい経営環境となりました。
乳製品を原材料とする食料品は、飲用乳需要が低迷する一方で、冬季に入ってもアイスクリームの消費が好調であったことに加え、プロテインやヨーグルトなどの消費も堅調であったことから、乳製品原料需要は概ね好調に推移しました。
このような状況下、当社グループの当第1四半期においては、最終製品の値上げにより販売が伸び悩む原料があった一方、アイスクリームなどに使用される脂肪系の輸入乳原料の販売が順調に進捗したことや、プロテイン向けを中心に高たんぱく原料の販売が順調だったこと、さらにアジア事業も好調だったことから売上高、販売数量ともに計画を上回る結果となりました。利益面においても、利益率の高い脂肪系乳原料や高たんぱく原料の販売数量が増加したことや、アジア・チーズ製造販売部門の利益率が改善したことなどにより、連結利益は計画を大幅に上回る結果となりました。
以上の結果、当期の売上高は459億84百万円(前年同四半期比15.8%増)となりました。また、営業利益は16億72百万円(前年同四半期比33.6%増)、経常利益は15億98百万円(前年同四半期比43.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は12億2百万円(前年同四半期比46.7%増)となりました。
なお、当期の経常利益にはプラス方向の為替の影響が1億34百万円含まれており、その影響を補正すると調整後の経常利益は14億64百万円(為替影響調整後、前年同四半期比33.1%増)となります。
連結経営成績(累計)
2024.11期 1Q |
2025.11期 1Q |
増減率 | |
---|---|---|---|
売上高 |
39,720百万円 |
45,984百万円 | 15.8% |
経常利益 | 1,116百万円 | 1,598百万円 | 43.3% |
経常利益に含まれる 為替影響額 |
16百万円 | 134百万円 | - |
為替影響額調整後の 経常利益 |
1,099百万円 | 1,464百万円 |
33.1% |
親会社株主に帰属する 四半期純利益 |
819百万円 | 1,202百万円 | 46.7% |

2025年11月期 第1四半期(2024年12月~2025年2月)
当第1四半期会計期間の乳原料・チーズ部門において、売上高は306億53百万円(前年同四半期「以下、前年同期」比9.0%増)、販売数量は43,972トン(前年同期比3.5%減)となりました。
国内の需給動向
- 当第1四半期会計期間の生乳生産量は前年同期間比プラスとなったが、脱脂粉乳在庫の対策事業継続の効果もあり、国産脱脂粉乳の在庫量は5万トン台と落ち着いた状況が継続。
- アイスクリームやプロテイン製品の消費は好調で、関連の乳製品原料需要は旺盛。
- 前四半期より引き続き、業務用を中心に各種食品の需要は堅調に推移。
当社の状況
- 国産脱脂粉乳の在庫水準が安定していたことを受け、輸入乳製品原料の需要が拡大。
- 冬季に入ってもアイスクリーム需要は高く、関連の乳製品原料販売は好調。また、プロテイン製品の原料である高たんぱく原料や育児用粉乳原料の販売も好調となった。
- 脱脂粉乳在庫の調整が進んだことで、特に粉乳調製品の販売が回復傾向となった。
- チーズは最終製品の値上げの影響が一部にみられたものの、外食関連の需要は堅調。既存販売先における当社のシェアが高まったことなどにより販売数量は期初想定を上回った。
トピック
- バターやクリームなど脂肪系乳原料および乳由来の高たんぱく原料は、世界的な需要の高まりから、国際相場は高止まりの状況。
- 国内において、生乳生産量は回復傾向にあるも、2 歳未満の乳用牛の飼養頭数が減少していることから、再び生乳生産量が減少に転じる可能性がある。

2025年11月期 第1四半期(2024年12月~2025年2月)
当第1四半期会計期間の食肉食材部門において、売上高は50億24百万円(前年同期比1.7%減)、販売数量は6,993トン(前年同期比10.0%減)となりました。
国内の需給動向
- 円安の影響により仕入価格が高騰し、内外価格差が縮小。
- また、最終製品の値上げにより、牛肉、豚肉、鶏肉ともに家庭用需要は低調だった。一方、外食需要は回復傾向にある。
当社の状況
- 主要取扱商品である北米産豚肉の販売は減少。米国の現地相場高と円安の影響により、他産地へのシフトが進んだ。
- 一方、鶏肉加工品などの加工食品の販売数量は増加。
トピック
- 北米産、欧州産の原料価格が高騰しており、南米など他産地からの調達にシフトする動きもあり、需給および販売先の動向には注視が必要。
- 引き続き加工食品需要の増加を見込み、関連商品の拡販に注力。

2025年11月期 第1四半期(2024年12月~2025年2月)
当第1四半期会計期間の機能性食品原料部門において、売上高は17億44百万円(前年同期比134.1%増)、販売数量は1,293トン(前年同期比121.4%増)となりました。
国内の需給動向
- 世界的な高たんぱく原料需要の高まりにより、国際相場が上昇。
- 国内プロテイン関連市場は成長が続く。従来のプロテイン用途に加え、高たんぱく原料を添加したチルド飲料など、スポーツニュートリション分野以外の商品ラインナップが拡大。スーパーマーケットやコンビニエンスストア、オンラインなどの販売チャネルの多様化も市場拡大に寄与。
- 乳由来の高たんぱく原料の国際相場は高止まりの状況が継続しており、大豆たんぱくやコラーゲンなど比較的安価な他のたんぱく原料の需要も高まる傾向。
当社の状況
- 前四半期より引き続き、国内におけるプロテイン原料の需要は高く、販売数量は好調に推移。
- 販売先のうち、特にブランドオーナー向けの販売が好調。
- 単なる原料販売のみならず、原料調達から製造・販売までをトータルでコーディネートするビジネスが進捗。付加価値の提供によるビジネス展開が着実に実を結び、当部門の業績に貢献。
トピック
- 乳由来の高たんぱく原料に加え、大豆たんぱくやコラーゲンなど、高たんぱく原料のバリエーションを増やし拡販に注力。
- スポーツニュートリション以外の用途で食品メーカーへの高たんぱく原料の提案も強化。

2025年11月期 第1四半期(2024年12月~2025年2月)
当第1四半期会計期間のアジア事業(乳原料販売部門)において、売上高は60億64百万円(前年同期比44.1%増)、販売数量は9,830トン(前年同期比18.6%増)となりました。
東南アジア・中国の需給動向
- 中国・香港を除くアジア地域では輸入乳原料の取引数量はコロナ渦以前の水準にまで戻りつつある。
当社の状況
- 日本国内の調製品需要が回復傾向にあることから、日本向けに調製品を製造する現地メーカーへの原料販売は増加傾向。
- フィリピン・タイを中心に既存取引先への販売が好調に推移。
- インドネシアにおいて代理店事業が順調に推移。(サプライヤーはオセアニアの乳業メーカー)
- 現地企業向け販売は価格競争が厳しさを増すも、当社の細やかな対応が評価され、販売数量は着実に増加。
トピック
- 当社グループのアジア地域の営業体制を強化すべく、海外拠点間の連携を強めることに注力しており、今後さらなる取引拡大を見込む。

2025年11月期 第1四半期(2024年12月~2025年2月)
当第1四半期会計期間のアジア事業(チーズ製造販売部門)において、売上高は16億39百万円(前年同期比29.6%増)、販売数量は1,444トン(前年同期比17.5%増)となりました。
東南アジア・中国の需給動向
- 旅行・観光関連消費が下支えとなり、マレーシアやシンガポールを中心に外食向けやベーカリー向けの需要が回復傾向。
- プロセスチーズ、ナチュラルチーズともに消費は拡大傾向。
当社の状況
- シンガポールやマレーシアの現地企業で、製菓・ベーカリー・加工食品メーカー向けを中心に販売数量が増加。
- また前四半期に引き続き、日系外食企業向けの販売が好調に推移。
- ユーザーごとに求められる品質に応えるプロセスチーズを開発・提案することにより取引拡大。
- チーズの原料価格が一服したことに加え、製造量の増加に伴う生産効率化により製造コストが低下し、利益率が改善。
トピック
- シンガポールの新工場建設は、各種許認可の取得に時間を要し、工事の開始が若干遅れたものの、2025年12月に竣工予定。2026年11月期の稼働開始に向けて準備を進めている。
当社は基本的に為替リスクは負わないビジネスモデル
当社の基本的な取引においては、海外仕入先との外貨建て仕入契約締結と同時に、国内顧客と円貨の販売契約を締結しています。その際、仕入外貨額に対する為替予約をすることで為替リスクをヘッジしております。
但し、当社は外貨為替会計処理基準における原則法を採用しており、そのため会計上の表示が特徴的
その特徴は、営業取引の各段階に応じて、会計処理に使用する為替レートが異なるため、営業取引の途中段階において、会計上の為替差損益が生じる点です。
その結果、仕入契約時に為替リスクをヘッジした場合でも、営業取引の途中段階においては、為替差損益が、売上原価と営業外損益に分かれて計上され、営業外損益のみならず、売上総利益及び営業利益についても為替表示の影響を受ける場合があります。
その他、決算期をまたぐ取引の場合は会計上、為替差損益が先行して計上される場合がある
決算期をまたぐ取引(翌期以降に販売)については、仕入決済を行い棚卸資産として計上したものの、売上計上の時期が翌期となり、仕入決済にかかる為替差損益のみが先行して計上され経常利益に反映されます。