2025年11月期 第3四半期(2024年12月~2025年8月)の決算サマリー

事業概況

当第3四半期連結累計期間(以下、「当第3四半期」)における我が国経済は、物価上昇による消費マインドの弱さがみられるものの、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費は底堅く推移し、国内景気は緩やかな回復基調を維持しました。

 

国内の食品業界においては、原材料価格の高騰に加え、人件費、物流費をはじめとした各種コストの上昇など複合的な要因により、最終製品の値上げが実施され、一部で消費減退の動きがみられるなど厳しい事業環境となりました。牛乳や乳製品においても、2025年6月の加工用向け乳価、同年8月の飲用向け乳価の改定が最終製品の価格にも波及し消費動向に影響がみられました。

 

このような状況下、当社グループの国内事業では、引き続き堅調な需要が続く脂肪系乳原料や高たんぱく原料の販売は好調に推移したものの、当第3四半期に入り、最終製品の値上げの影響により需要が軟調となった一部の乳原料やチーズ、豚肉関連商品の販売が伸び悩む結果となりました。

 

アジア事業においても、価格主導の市場競争が進行し、より一層厳しい事業環境が続いておりますが、高付加価値商品の提案やサプライヤーとの連携強化により、販売は底堅く推移しました。利益面では、各部門とも利益率の改善傾向がみられ、業績進捗は概ね想定どおりとなりました。

 

以上の結果、当第3四半期の売上高は1,374億31百万円(前年同期比7.2%増)となりました。また、営業利益は48億12百万円(前年同期比39.0%増)、経常利益は49億7百万円(前年同期比41.0%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は35億59百万円(前年同期比39.9%増)となりました。

 

なお、当第3四半期の経常利益にはマイナス方向の為替の影響が13百万円含まれており、その影響を補正すると調整後の経常利益は49億21百万円(為替影響調整後、前年同期比46.4%増)となります。

連結経営成績(累計)

  2024.11期 3Q

2025.11期 3Q

増減率
売上高

128,178百万円

137,431百万円 7.2%
経常利益 3,479百万円 4,907百万円 41.0%

経常利益に含まれる

為替影響額
118百万円 △13百万円

為替影響額調整後の

経常利益

3,360百万円 4,921百万円

46.4%

親会社株主に帰属する

四半期純利益
2,544百万円 3,559百万円 39.9%

 

乳原料・チーズ部門の状況(第3四半期)

2025年11月期 第3四半期(2024年12月~2025年8月)

売上高 :899億50百万円(前年同期比2.8%増)
販売数量 :124,690トン(前年同期比7.0%減)

国内の需給動向

  • 国内の生乳生産量は、都府県が減少する一方で北海道の生産が好調であり、全国ベースでは2025年4月以降、前年同月を上回る生産が続いている。今夏、一時は猛暑による減産が懸念されたが、飼料価格が落ち着いたことや、乳価の改定による酪農家の生産意欲の向上などを背景に生産は好調となり、脱脂粉乳の在庫量はやや増加傾向となった。
  • 今期はアイスクリームや高機能食品市場が拡大しており、関連の乳製品原料需要は旺盛。

 

当社の状況

  • プロテインやアイスクリームに使用される原料(脂肪系乳原料および高たんぱく原料)の販売は好調。ただし、一部に競合先の台頭もみられる。
  • 国産脱脂粉乳の在庫がやや増加傾向にあり、粉乳調製品販売は当第3四半期に入りやや軟調。
  • 脱脂粉乳やバターの販売数量は、サプライソースを活かし価格競争力のある輸入品を提案できたことから前年同期比で増加。
  • チーズ販売においては、業務用の原料販売は好調だった一方、食品全般の物価上昇の影響などを受け、小売向けの原料販売は軟調。

 

トピック

  • 乳由来の高たんぱく原料やバターやクリームなどの脂肪系乳原料は、世界的に需要は高い。
  • 国内において、2 歳未満の乳用牛の飼養頭数が減少しており、生産量の急激な回復は見込めないものの、北海道の生乳生産量は好調。一般社団法人Jミルクによれば、2025年度の生産見通しは、都府県は 4 年連続の減産、北海道は 2 年連続の増産、全国も 2 年連続の増産となる見込み。

食肉食材部門の状況(第3四半期)

2025年11月期 第3四半期(2024年12月~2025年8月)

売上高 :171億54百万円(前年同期比5.0%増)
販売数量 :24,329トン(前年同期比0.8%増)

国内の需給動向

  • 物価上昇の影響から、豚肉に加え、ハム・ソーセージなどの豚肉加工品の需要も軟調。

 

当社の状況

  • 豚肉の国内需要が鈍化したことから、チルドポークとフローズンポークの販売が軟調に推移した。
  • 鶏肉加工品は既存顧客向けの販売が安定的に推移したことに加え、新規取引を獲得し販売を開始。また、外食向けに対する新規提案を強化中。

 

トピック

  • 引き続き加工食品需要の増加を見込み、関連商品の拡販に注力。
  • 4月から、ドイツの香辛料メーカーの日本における販売代理店として、香辛料や香辛料抽出物、岩塩等の輸入販売を開始。既存事業とのシナジーを活かし拡販を目指す。

機能性食品原料部門の状況(第3四半期)

2025年11月期 第3四半期(2024年12月~2025年8月)

売上高 :62億98百万円(前年同期比108.7%増)
販売数量 :4,836トン(前年同期比98.4%増)

国内の需給動向

  • 国内のプロテイン市場の拡大は継続。
  • 乳由来の高たんぱく原料は世界的に需要が高まっており、原料価格は高値圏での推移が続くと同時に、調達環境も厳しさが増している。
  • 大豆たんぱくやコラーゲンなど比較的安価なたんぱく原料の需要も高まっている。国内プロテイン関連市場は成長が継続する見通しであり、従来のプロテイン用途に加え、健康志向の高まりから、高たんぱく原料を添加した商品ラインナップが拡大。

 

当社の状況

  • 調達網を駆使して原料の安定供給に努め、プロテイン原料販売は引き続き堅調に推移。
  • プロテインのブランドオーナー向けには、サプライチェーン全体に当社が関与する総合的なサポート体制が取引拡大や新規顧客数の増加に寄与。
  • 今期より植物由来の高たんぱく原料の販売も増加。

 

トピック

  • 乳由来の高たんぱく原料に加え、大豆たんぱくやコラーゲンなど、取扱品目の幅を拡げ、さらなる拡販や新規取引先開拓を目指す。
  • 食品メーカーへ新たなレシピ提案を行うなど、スポーツニュートリション以外の用途向け拡販を強化。

アジア事業(乳原料販売部門)の状況(第3四半期)

2025年11月期 第3四半期(2024年12月~2025年8月)

売上高 :172億18百万円(前年同期比11.4%増)
販売数量 :28,913トン(前年同期比0.1%増)

東南アジア・中国の需給動向

  • 東南アジアユーザーの乳原料需要は安定的に推移。

 

当社の状況

  • 日本向け粉乳調製品原料の販売はやや軟調ではあったものの、想定ほどの落ち込みはなかった。
  • 一部地域において日系食品メーカー向けの原料販売が伸び悩んだが、サプライヤーとの連携を深め営業活動を強化しているインドネシアの現地企業向け乳原料販売は好調に推移。

 

トピック

  • 当社グループのアジア地域の営業体制を強化すべく、海外拠点間の連携を強めることに注力中。

アジア事業(チーズ製造販売部門)の状況(第3四半期)

2025年11月期 第3四半期(2024年12月~2025年8月)

売上高 :45億92百万円(前年同期比10.9%増)
販売数量 :4,089トン(前年同期比5.1%増)

東南アジア・中国の需給動向

  • マレーシアやシンガポールにおけるチーズ需要は引き続き堅調。
  • プロセスチーズ、ナチュラルチーズともに消費は拡大傾向。

 

当社の状況

  • ユーザーごとのニーズにマッチした品質・規格に対応したプロセスチーズを開発・提案することにより取引拡大。
  • シンガポールやマレーシアでは、外食、ベーカリー、加工食品メーカー向けを中心に販売数量が増加。タイは競合が激しく販売数量は微減。
  • 原料高をカバーするための価格改定を順次行っていることから販売数量は計画を若干下回ったものの前年同期比で利益率は改善。

 

トピック

  • シンガポールの新工場建設は、2026年11月期の稼働開始に向けて準備は順調に進捗。
  • 現地のチーズ加工メーカーの企業数は増加傾向にあるも、多くが価格訴求品をメインに取り扱っていることから、高品質かつ安定供給を実現する当社の優位性が高まっている。

為替影響と会計上の表示について

当社は基本的に為替リスクは負わないビジネスモデル

当社の基本的な取引においては、海外仕入先との外貨建て仕入契約締結と同時に、国内顧客と円貨の販売契約を締結しています。その際、仕入外貨額に対する為替予約をすることで為替リスクをヘッジしております。

 

但し、当社は外貨為替会計処理基準における原則法を採用しており、そのため会計上の表示が特徴的

その特徴は、営業取引の各段階に応じて、会計処理に使用する為替レートが異なるため、営業取引の途中段階において、会計上の為替差損益が生じる点です。

 

その結果、仕入契約時に為替リスクをヘッジした場合でも、営業取引の途中段階においては、為替差損益が、売上原価と営業外損益に分かれて計上され、営業外損益のみならず、売上総利益及び営業利益についても為替表示の影響を受ける場合があります。

 

その他、決算期をまたぐ取引の場合は会計上、為替差損益が先行して計上される場合がある

決算期をまたぐ取引(翌期以降に販売)については、仕入決済を行い棚卸資産として計上したものの、売上計上の時期が翌期となり、仕入決済にかかる為替差損益のみが先行して計上され経常利益に反映されます。