2024年11月期 第3四半期(2023年12月~2024年8月)の決算サマリー

事業概況

2024年11月期 第3四半期 (以下、当第3四半期)における日本経済は、物価高騰の影響で個人消費が伸び悩んだものの、企業業績や雇用・所得環境は改善し、景気は穏やかな回復傾向となりました。一方で、世界経済は、東欧・中東地域における紛争の長期化や中国経済の低迷、欧米諸国の景気下振れリスクの顕在化、それらを背景とした為替相場の大幅な変動など、先行き不透明な状況が続きました。

 

国内の食品業界においては、各種食品の値上げにより消費者の節約志向は強まる傾向がみられましたが、経済活動の回復に伴う人流の増加やインバウンド消費の活況により、業務用の食品需要は堅調となりました。

 

このような状況のもと、当社グループでは中期経営計画「NEXT-LJ 2025」の達成に向け、各種施策の推進に努めました。国内事業は、業務用を中心に回復した食品原料需要を背景に、すべての部門において販売数量が前年同期比で増加し、乳製品原料および食肉製品の価格上昇や円安により販売価格も高水準が継続したため、業績は好調に進捗しました。アジア事業は、チーズ製造販売部門においてプロセスチーズ、ナチュラルチーズ加工品ともに販売数量が前年同期比で増加し、業績は順調に推移しました。

 

以上の結果、当第3四半期の売上高は1,281億78百万円(前年同四半期連結累計期間、以下、「前年同四半期」比9.2%増)となりました。また、営業利益は34億62百万円(前年同四半期比44.0%増)、経常利益は34億79百万円(前年同四半期比68.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は25億44百万円(前年同四半期比77.3%増)となりました。

 

なお、当期の経常利益にはプラス方向の為替の影響が1億18百万円含まれており、その影響を補正すると調整後の経常利益は33億60百万円(為替影響調整後、前年同四半期比56.3%増)となります。

連結経営成績(累計)

  2023.11期 3Q 2024.11期 3Q 増減率
売上高 117,330百万円 128,178百万円 9.2%
経常利益 2,059百万円 3,479百万円 68.9%

経常利益に含まれる

為替影響額
△90百万円 118百万円

為替影響額調整後の

経常利益

2,149百万円 3,360百万円

56.3%

親会社株主に帰属する

四半期純利益
1,434百万円 2,544百万円 77.3%

 

乳原料・チーズ部門の状況(第3四半期)

2024年11月期  第3四半期(2024年6月~2024年8月)

当第3四半期会計期間の乳原料・チーズ部門において、売上高は285億77百万円(前年同四半期「以下、前年同期」比8.4%増)、販売数量は43,043トン(前年同期比9.1%増)となりました。

国内の需給動向

  • 当第3四半期会計期間の生乳生産は猛暑の影響で6月および7月に生産量が減少し前年同期間比マイナスとなった。それに伴い脱脂粉乳の生産量も減少したため、国産脱脂粉乳の在庫水準は5万トン台で落ち着いた状況が続いた。
  • 牛乳やヨーグルトなどの消費は伸び悩んでいるものの、アイスクリーム、チョコレート、プロテイン製品などの消費は好調で関連の乳製品原料需要は旺盛。
  • バターも業務用を中心に堅調な需要が続いているが、国産と輸入品の内外価格差縮小により輸入数量の伸びは期待ほどではない。

 

当社の状況

  • 業務用を中心に各種食品の需要が回復傾向となったことや、国産脱脂粉乳在庫水準の低下を受けて輸入乳製品原料の販売は堅調に推移。
  • 当期は特に、アイスクリームの原料販売や、飼料向けのホエイパウダーなどの販売が好調に推移した。また、「高たんぱく」を謳った食品やプロテイン関連製品の市場が拡がっており、乳由来の高たんぱく原料の販売も堅調。
  • チーズは、外食関連の需要が活況であり、業務用の原料販売は順調に推移。
  • 利益率が高い商品の売上が増加したことなどから当部門の利益率は前年同期間比で改善。

 

トピック

  • 乳製品の国際相場は上昇傾向。欧州でブルータング(青舌病)と呼ばれる牛の疾病の影響で生乳生産量に減少傾向がみられる一方、各種乳製品の需要が堅調であることが背景にある。

食肉食材部門の状況(第3四半期)

2024年11月期  第3四半期(2024年6月~2024年8月)

当第3四半期会計期間の食肉食材部門において、売上高は58億1百万円(前年同期比31.3%増)、販売数量は8,302トン(前年同期比19.3%増)となりました。

国内の需給動向

  • 豚肉は、外食向けなど業務用需要およびハム・ソーセージなどの加工品原料需要が堅調。

 

当社の状況

  • 豚肉、加工品ともに販売は順調に推移。
  • 豚肉は価格が高騰した欧州産に対して、北米産への引き合いが多く、当社が取り扱う北米産のフローズンポークの販売が引き続き堅調となった。
  • 取扱商品多様化の取組みの一環として、昨年より本格展開した鶏肉・鶏肉加工品の販売も安定的に推移。
  • 商品ミックスの変化により利益率も改善した。

 

トピック

  • 引き続き加工食品需要の増加を見込み、関連商品の拡販に注力。

機能性食品原料部門の状況(第3四半期)

2024年11月期  第3四半期(2024年6月~2024年8月)

当第3四半期会計期間の機能性食品原料部門において、売上高は14億8百万円(前年同期比23.3%増)、販売数量は1,170トン(前年同期比58.9%増)となりました。

国内の需給動向

  • プロテイン関連市場は拡大中。スポーツニュートリション分野以外にも「高たんぱく」を謳う食品が相次いで発売されており、原料需要は堅調。
  • 高たんぱく原料に対する需要増は日本に限らず、世界各地で同様の状況。そのため、原料の安定調達が重要な課題。

 

当社の状況

  • プロテイン製品の消費拡大を背景に、乳由来の高たんぱく原料の需要は高く販売は順調。
  • 展示会への出展などを通じたマーケティング活動による新規取引先の開拓に加え、既存顧客との取引深耕により販売数量が増加。

 

トピック

  • 前期まで「アジア事業・その他」に含めていた当部門の売上高および販売数量は、当期より独立した部門として開示しております。

アジア事業(乳原料販売部門)の状況(第3四半期)

2024年11月期  第3四半期(2024年6月~2024年8月)

当第3四半期会計期間のアジア事業(乳原料販売部門)において、売上高は57億27百万円(前年同期比62.1%増)、販売数量は10,352トン(前年同期比62.0%増)となりました。

東南アジア・中国の需給動向

  • 中国を除く東南アジア各国の景気は回復傾向。

 

当社の状況

  • 日系企業向けを中心に東南アジア地域での乳原料の販売は堅調。日本向け乳調製品の原料販売も復調の兆し。一方、現地企業向けの価格訴求品の入札商売では、競争が激しく、昨年より販売数量が減少。
  • 商品ミックスの変化などにより利益率は改善。
  • インドネシアの販売拠点における販売活動が軌道に乗りはじめたことなど、今後の事業拡大につながる展開もあり。

 

トピック

  • 景気低迷により中国の乳製品輸入は引き続き低調となっているため、オセアニアの乳業メーカーは販売先をアジア各国にシフト。当社との激しい競争が継続。

アジア事業(チーズ製造販売部門)の状況(第3四半期)

2024年11月期  第3四半期(2024年6月~2024年8月)

当第3四半期会計期間のアジア事業(チーズ製造販売部門)において、売上高は14億60百万円(前年同期比19.0%増)、販売数量は1,353トン(前年同期比15.5%増)となりました。

東南アジア・中国の需給動向

  • 中国向け販売は、景気低迷の影響で引き続き低調。
  • シンガポールやマレーシアでは主に外食業界におけるチーズ需要が回復傾向。
  • ナチュラルチーズの消費拡大傾向は続く。

 

当社の状況

  • シンガポールを中心に外食(ピザチェーン)やベーカリー向けの販売は堅調。
  • タイではホテル、レストラン、カフェ向けなどの販売が前期より改善。
  • 中国需要に関連したプロセスチーズ販売は引き続き低調。
  • 原料チーズ価格の高騰が一服したことに加え、販売数量が増加したことから利益率が改善。

 

トピック

  • シンガポールの新工場建設は、各種許認可の取得に時間を要し、工事の開始が若干遅れたものの、2025年12月の稼働開始に向けて準備を進めている。

為替影響と会計上の表示について

当社は基本的に為替リスクは負わないビジネスモデル

当社の基本的な取引においては、海外仕入先との外貨建て仕入契約締結と同時に、国内顧客と円貨の販売契約を締結しています。その際、仕入外貨額に対する為替予約をすることで為替リスクをヘッジしております。

 

但し、当社は外貨為替会計処理基準における原則法を採用しており、そのため会計上の表示が特徴的

その特徴は、営業取引の各段階に応じて、会計処理に使用する為替レートが異なるため、営業取引の途中段階において、会計上の為替差損益が生じる点です。

 

その結果、仕入契約時に為替リスクをヘッジした場合でも、営業取引の途中段階においては、為替差損益が、売上原価と営業外損益に分かれて計上され、営業外損益のみならず、売上総利益及び営業利益についても為替表示の影響を受ける場合があります。

 

その他、決算期をまたぐ取引の場合は会計上、為替差損益が先行して計上される場合がある

決算期をまたぐ取引(翌期以降に販売)については、仕入決済を行い棚卸資産として計上したものの、売上計上の時期が翌期となり、仕入決済にかかる為替差損益のみが先行して計上され経常利益に反映されます。

 

なお、下記の図解をご参照ください。