2024年11月期 第1四半期(2023年12月~2024年2月)の決算サマリー

事業概況

2024年11月期 第1四半期 (以下、当第1四半期)は、物価高が継続する状況ではありましたが、経済活動の正常化やインバウンド消費の増加により、日本の景気は緩やかな回復傾向となりました。一方、世界経済においては中国の景気低迷や地政学リスクの高まりなどにより、依然として先行き不透明な状況が続きました。

 

国内の食品業界においては、景気の回復を背景に各種食品の需要は底堅く推移しました。乳製品を原料とする食品では、ヨーグルトなど相次ぐ値上げにより消費量が伸び悩んでいる製品がある一方で、アイスクリームや菓子類、プロテインなど消費が好調な製品もあり、乳製品原料の需要は堅調でした。

 

このような状況下、当社グループでは、中期経営計画「NEXT-LJ 2025」の達成を目指して引き続き各種施策の実行に取り組みました。当第1四半期の国内事業は、回復傾向となった需要に応じた原料の安定供給や、ユーザーニーズにマッチした原料の積極的な提案により、すべての部門において、売上高・販売数量ともに前年同四半期を上回りました。アジア事業においても、中国以外の地域経済に回復の兆しが見え始め、チーズ製造販売部門は、売上高・販売数量が伸長しました。

 

また、国内において主要商品である輸入乳製品原料の販売が期初想定より堅調に進んだほか、アジアにおいても商社、メーカーいずれの事業においても利益率が改善したことから当第1四半期の利益は想定以上に順調な進捗となりました。

 

以上の結果、当期の売上高は397億20百万円(前年同四半期比2.5%増)、経常利益は11億16百万円(前年同四半期比50.1%増)と増収増益となりました。なお、当期の経常利益にはプラス方向の為替の影響が16百万円含まれており、その影響を補正すると調整後の経常利益は10億99百万円(為替影響調整後、前年同四半期比53.9%増)となります。

 

連結経営成績(累計)

  2023.11期 1Q 2024.11期 1Q 増減率
売上高 38,745百万円 39,720百万円 2.5%
経常利益 743百万円 1,116百万円 50.1%

経常利益に含まれる

為替影響額
29百万円 16百万円

為替影響額調整後の

経常利益

714百万円 1,099百万円

53.9%

親会社株主に帰属する

四半期純利益
509百万円 819百万円 61.1%

 

乳原料・チーズ部門の状況(第1四半期)

2024年11月期  第1四半期(2023年12月~2024年2月)

当第1四半期会計期間の乳原料・チーズ部門において、売上高は281億24百万円(前年同四半期「以下、前年同期」比1.9%増)、販売数量は45,583トン(前年同期比12.3%増)となりました。

国内の需給動向

  • 官民一体となった対策事業の効果により、国産脱脂粉乳の在庫は適正水準へ。
  • 酪農業の生産コスト上昇を受け、2023年12月には再度、加工用の乳価値上げが実施され、ヨーグルトなど乳製品の消費は停滞。
  • 一方、アイスクリーム、チョコレート、プロテイン製品などの消費は好調で原料需要は高い。

 

当社の状況

  • 対策事業により、引き続き大手乳業メーカーを中心に国産脱脂粉乳の使用が優先されているが、在庫水準の低下を受けて乳業メーカー以外では輸入粉乳調製品の需要が想定より早いタイミングで回復傾向。
  • 「高たんぱく」を謳った食品やプロテイン関連製品の市場が拡がっており、乳由来の高たんぱく原料の販売は堅調。
  • チョコレートの原料となる全粉乳や乳糖などの販売は引き続き堅調。
  • 昨年度の値上げの影響もあり、チーズ市場としての需要は本格回復とはいかないが、当社販売は順調に推移。

 

トピック

  • 乳製品の国際相場は落ち着いた展開。世界最大の乳製品輸入国である中国の需要が低迷していることなどが背景。
  • 2024年度の国内乳価は飲用・加工用ともに据え置きでスタート。
  • 脱脂粉乳在庫は調整が進むも、2024年度も一定量の在庫削減を目的とした対策事業は継続の見込み。

食肉食材部門の状況(第1四半期)

2024年11月期  第1四半期(2023年12月~2024年2月)

当第1四半期会計期間の食肉食材部門において、売上高は51億11百万円(前年同期比25.8%増)、販売数量は7,766トン(前年同期比29.3%増)となりました。

国内の需給動向

  • 外食向けなど業務用需要は底堅く推移。
  • 外食業界における人手不足などを背景に、食肉加工品需要が堅調。

 

当社の状況

  • 豚肉販売、加工品販売ともに順調に推移。
  • 豚肉は価格が高騰した欧州産に対して、北米産への引き合いが多く、当社が取り扱う北米産のフローズンポークの販売が堅調に推移。
  • 取扱商品多様化の取組みの一環として昨年より本格展開した鶏肉・鶏肉加工品の販売は引き続き好調。販売数量の増加が継続。

 

トピック

  • 加工食品需要の増加を見込み、当社は引き続き加工品の拡販に注力する予定。

機能性食品原料部門の状況(第1四半期)

2024年11月期  第1四半期(2023年12月~2024年2月)

当第1四半期会計期間の機能性食品原料部門において、売上高は7億44百万円(前年同期比19.1%増)、販売数量は584トン(前年同期比42.7%増)となりました。

国内の需給動向

  • プロテイン製品の消費は拡大中。スポーツニュートリション分野以外にも「高たんぱく」を謳う食品が相次いで発売されており、原料需要は堅調。
  • 高たんぱく原料に対する需要増は日本に限らず、世界各地で同様の状況。そのため、原料の安定調達が重要な課題。

 

当社の状況

  • プロテイン製品のレシピ提案など独自の事業展開により、既存顧客に加えて新規販売先の開拓が進む。
  • プロテイン製品の消費拡大を背景に、乳由来の高たんぱく原料の需要は高く販売は順調。

 

トピック

  • 前期まで「アジア事業・その他」に含めていた当部門の売上高および販売数量は、今後独立した部門として開示してまいります。

アジア事業(乳原料販売部門)の状況(第1四半期)

2024年11月期  第1四半期(2023年12月~2024年2月)

当第1四半期会計期間のアジア事業(乳原料販売部門)において、売上高は42億7百万円(前年同期比19.8%減)、販売数量は8,286トン(前年同期比20.1%減)となりました。

東南アジア・中国の需給動向

  • 中国を除く東南アジア各国の景気は回復傾向。

 

当社の状況

  • 日本において脱脂粉乳の過剰在庫の調整が進んだことにより、日本からの脱脂粉乳輸出に関連した取引は前期比で大幅に減少。
  • 日本向け乳調製品の原料販売には回復の兆候も見られるようになり今後の回復に期待。
  • 当社の調達力や現地での対応力への評価から、他社で調達していた原料を当社へ切り替える動きもあり、日系企業向けを中心に東南アジア地域での乳原料の販売は堅調。
  • プロダクトミックスの改善などにより利益率は改善。

 

トピック

  • 景気低迷により中国の乳製品輸入は引き続き低調となっているため、オセアニアの乳業メーカーは販売先をアジア各国にシフト。当社との激しい競争が継続。

アジア事業(チーズ製造販売部門)の状況(第1四半期)

2024年11月期  第1四半期(2023年12月~2024年2月)

当第1四半期会計期間のアジア事業(チーズ製造販売部門)において、売上高は12億64百万円(前年同期比16.3%増)、販売数量は1,228トン(前年同期比6.4%増)となりました。

東南アジア・中国の需給動向

  • 中国向け販売は、景気低迷の影響で引き続き低調。
  • シンガポールやマレーシアでは主に外食業界におけるチーズ需要が回復傾向。
  • ナチュラルチーズの消費拡大傾向は続く。

 

当社の状況

  • 中国需要に関連したプロセスチーズ販売は引き続き低調に推移。
  • タイの景気は徐々に持ち直し、同国向けの販売数量も回復傾向。
  • シンガポールを中心に外食(ピザチェーン)やベーカリー向けの販売は堅調。
  • 原料チーズ価格の低下により原価率が改善したことに加え、前期に実施した販売価格改定の効果により当部門の利益率は改善。

 

トピック

  • シンガポールの新工場建設は、当期着工予定。2025年からの稼働に向けて、生産・販売体制の整備を進行中。

為替影響と会計上の表示について

当社は基本的に為替リスクは負わないビジネスモデル

当社の基本的な取引においては、海外仕入先との外貨建て仕入契約締結と同時に、国内顧客と円貨の販売契約を締結しています。その際、仕入外貨額に対する為替予約をすることで為替リスクをヘッジしております。

 

但し、当社は外貨為替会計処理基準における原則法を採用しており、そのため会計上の表示が特徴的

その特徴は、営業取引の各段階に応じて、会計処理に使用する為替レートが異なるため、営業取引の途中段階において、会計上の為替差損益が生じる点です。

 

その結果、仕入契約時に為替リスクをヘッジした場合でも、営業取引の途中段階においては、為替差損益が、売上原価と営業外損益に分かれて計上され、営業外損益のみならず、売上総利益及び営業利益についても為替表示の影響を受ける場合があります。

 

その他、決算期をまたぐ取引の場合は会計上、為替差損益が先行して計上される場合がある

決算期をまたぐ取引(翌期以降に販売)については、仕入決済を行い棚卸資産として計上したものの、売上計上の時期が翌期となり、仕入決済にかかる為替差損益のみが先行して計上され経常利益に反映されます。

 

なお、下記の図解をご参照ください。