2024年11月期 第2四半期(2023年12月~2024年5月)の決算サマリー

事業概況

2024年11月期 第2四半期 (以下、当第2四半期)における日本経済は、物価高騰の影響を受けつつも、多くの企業が業績を伸ばし、また雇用・所得環境も少しずつ改善するなど、景気は緩やかな回復傾向となりました。

 

一方で、急激な円安の進行や、東欧・中東地域における紛争の長期化を背景とした原材料・エネルギー価格の高騰、中国の景気低迷の継続など依然として先行き不透明な状況が続いております。

 

国内の食品業界におきましては、幅広い食品における値上げの影響から消費者の節約志向が強まり内食・個人向けの需要は伸び悩みましたが、インバウンド消費の増加などにより、外食向けなど業務用需要が堅調に推移しました。

 

このような状況のもと、当社グループでは中期経営計画「NEXT-LJ 2025」の達成に向け各種施策を推進いたしました。当第2四半期においては、最終製品の値上げの影響で販売が伸び悩む原料があったものの、業務用需要の回復により輸入原料への引き合いが増加したことや、市場拡大が顕著なプロテイン製品に関連した原料販売が順調に進んだことなどから、国内事業の販売数量が増加し、売上高は想定を上回る結果となりました。利益面では、主に国内の乳原料・チーズ部門において利益率の高い商品の販売数量が増加したことや、アジア事業における乳原料販売部門・チーズ製造販売部門の利益率がともに前期比で改善したことから、連結利益は予想を大幅に上回る結果となりました。

 

以上の結果、当第2四半期の売上高は845億60百万円(前年同四半期連結累計期間、以下、「前年同四半期」比5.1%増)となりました。また、営業利益は24億32百万円(前年同四半期比42.6%増)、経常利益は22億60百万円(前年同四半期比68.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は16億54百万円(前年同四半期比79.3%増)となり、第2四半期累計期間の利益としては過去最高を更新しました。

 

なお、当期の経常利益にはマイナス方向の為替の影響が24百万円含まれており、その影響を補正すると調整後の経常利益は22億85百万円(為替影響調整後、前年同四半期比61.3%増)となります。

連結経営成績(累計)

  2023.11期 2Q 2024.11期 2Q 増減率
売上高 80,450百万円 84,560百万円 5.1%
経常利益 1,344百万円 2,260百万円 68.1%

経常利益に含まれる

為替影響額
△72百万円 △24百万円

為替影響額調整後の

経常利益

1,417百万円 2,285百万円

61.3%

親会社株主に帰属する

四半期純利益
922百万円 1,654百万円 79.3%

 

乳原料・チーズ部門の状況(第2四半期)

2024年11月期  第2四半期(2024年3月~2024年5月)

当第2四半期会計期間の乳原料・チーズ部門において、売上高は308億7百万円(前年同四半期「以下、前年同期」比5.5%増)、販売数量は45,515トン(前年同期比1.7%増)となりました。

国内の需給動向

  • 足元の生乳生産量は2024年2月以降、前年同月比で増加が続いているが、国産脱脂粉乳の過剰在庫は調整が進み、落ち着いた展開。
  • 牛乳やヨーグルトなどの消費は伸び悩んでいるものの、アイスクリーム、チョコレート、プロテイン製品などの消費は好調で関連の原料需要は旺盛。バターも業務用を中心に堅調な需要が続く。

 

当社の状況

  • 業務用を中心に各種食品の需要が回復傾向となったことや、国産脱脂粉乳在庫水準の低下を受けて輸入乳製品原料の販売は堅調に推移。
  • 特に、チョコレートの原料となる全粉乳や乳糖などの販売が好調に推移した。
  • 「高たんぱく」を謳った食品やプロテイン関連製品の市場が拡がっており、乳由来の高たんぱく原料の販売も堅調。
  • チーズは、最終製品の値上げの影響により、小売向けの原料は伸び悩んでいるものの、外食関連の需要が活況であり、業務用の原料販売は順調に推移。
  • 利益率の高い商品の売上が増加したことから当部門の利益率が改善。

 

トピック

  • 乳製品の国際相場はバターなど一部商品の価格上昇がみられるも、全般的には落ち着いた展開。世界最大の乳製品輸入国である中国の需要が低迷していることなどが背景。
  • 業務用を中心に需要が堅調なバターに関しては、6月に、農水省が国家貿易による今年度の輸入枠数量追加を発表。(2024年1月時点で8,000~約10,000トンとしていた輸入枠数量を14,000トン台までに修正。)
  • 猛暑予想で、今夏の乳製品原料の需給はひっ迫懸念もあり。

食肉食材部門の状況(第2四半期)

2024年11月期  第2四半期(2024年3月~2024年5月)

当第2四半期会計期間の食肉食材部門において、売上高は54億27百万円(前年同期比10.0%増)、販売数量は8,076トン(前年同期比2.6%増)となりました。

国内の需給動向

  • 豚肉は、外食向けなど業務用需要およびハム・ソーセージなどの加工品原料需要が堅調。

 

当社の状況

  • 豚肉販売、加工品販売ともに順調に推移。
  • 豚肉は価格が高騰した欧州産に対して、北米産への引き合いが多く、当社が取り扱う北米産のフローズンポークの販売が堅調に推移。
  • 取扱商品多様化の取組みの一環として、昨年より本格展開した鶏肉・鶏肉加工品の販売は好調。販売数量の増加が継続。
  • 国際的な豚肉価格の上昇および円安進行などの影響により利益率は低下。

 

トピック

  • 引き続き加工食品需要の増加を見込み、関連商品の拡販に注力。

機能性食品原料部門の状況(第2四半期)

2024年11月期  第2四半期(2024年3月~2024年5月)

当第2四半期会計期間の機能性食品原料部門において、売上高は8億63百万円(前年同期比10.1%減)、販売数量は683トン(前年同期比5.4%減)となりました。

国内の需給動向

  • プロテイン関連市場は拡大中。スポーツニュートリション分野以外にも「高たんぱく」を謳う食品が相次いで発売されており、原料需要は堅調。
  • 高たんぱく原料に対する需要増は日本に限らず、世界各地で同様の状況。そのため、原料の安定調達が重要な課題。

 

当社の状況

  • プロテイン製品のレシピ提案など独自の事業展開により、既存顧客に加えて新規販売先の開拓が進む。
  • プロテイン製品の消費拡大を背景に、乳由来の高たんぱく原料の需要は高く販売は順調。

 

トピック

  • 前期まで「アジア事業・その他」に含めていた当部門の売上高および販売数量は、当期より独立した部門として開示しております。

アジア事業(乳原料販売部門)の状況(第2四半期)

2024年11月期  第2四半期(2024年3月~2024年5月)

当第2四半期会計期間のアジア事業(乳原料販売部門)において、売上高は55億23百万円(前年同期比3.9%増)、販売数量は10,232トン(前年同期比4.5%減)となりました。

東南アジア・中国の需給動向

  • 中国を除く東南アジア各国の景気は回復傾向。

 

当社の状況

  • 日本において脱脂粉乳の過剰在庫の調整が進んだことにより、日本からの脱脂粉乳輸出に関連した取引は前期比で大幅に減少。
  • 日系企業向けを中心に東南アジア地域での乳原料の販売は堅調。日本向け乳調製品の原料販売も復調の兆し。一方、現地企業向けの価格訴求品の入札商売では、競争が激しく、昨年より販売数量が減少。
  • プロダクトミックスの改善などにより利益率は改善。
  • インドネシアの販売拠点における販売活動が軌道に乗りはじめたことなど、今後の事業拡大に繋がる展開もあり。

 

トピック

  • 景気低迷により中国の乳製品輸入は引き続き低調となっているため、オセアニアの乳業メーカーは販売先をアジア各国にシフト。当社との激しい競争が継続。

アジア事業(チーズ製造販売部門)の状況(第2四半期)

2024年11月期  第2四半期(2024年3月~2024年5月)

当第2四半期会計期間のアジア事業(チーズ製造販売部門)において、売上高は14億14百万円(前年同期比22.0%増)、販売数量は1,307トン(前年同期比7.6%増)となりました。

東南アジア・中国の需給動向

  • 中国向け販売は、景気低迷の影響で引き続き低調。
  • シンガポールやマレーシアでは主に外食業界におけるチーズ需要が回復傾向。
  • ナチュラルチーズの消費拡大傾向は続く。
  • 原料チーズ価格の高騰が一服したことに加え、販売数量が増加したことから利益率が改善。

 

当社の状況

  • 中国需要に関連したプロセスチーズ販売は引き続き低調。
  • タイの景気は徐々に持ち直し、同国向けの販売数量も回復傾向。ただし、アジア各国の通貨に対するドル高の影響から輸出用の加工食品メーカーへの販売が低調となった。
  • シンガポールを中心に外食(ピザチェーン)やベーカリー向けの販売は堅調。
  • 原料チーズ価格の低下により原価率が改善したことに加え、前期に実施した販売価格改定の効果により当部門の利益率は改善。

 

トピック

  • シンガポールの新工場建設は、当期着工予定。2025年からの稼働に向けて、製造・販売体制の整備を進行中。

為替影響と会計上の表示について

当社は基本的に為替リスクは負わないビジネスモデル

当社の基本的な取引においては、海外仕入先との外貨建て仕入契約締結と同時に、国内顧客と円貨の販売契約を締結しています。その際、仕入外貨額に対する為替予約をすることで為替リスクをヘッジしております。

 

但し、当社は外貨為替会計処理基準における原則法を採用しており、そのため会計上の表示が特徴的

その特徴は、営業取引の各段階に応じて、会計処理に使用する為替レートが異なるため、営業取引の途中段階において、会計上の為替差損益が生じる点です。

 

その結果、仕入契約時に為替リスクをヘッジした場合でも、営業取引の途中段階においては、為替差損益が、売上原価と営業外損益に分かれて計上され、営業外損益のみならず、売上総利益及び営業利益についても為替表示の影響を受ける場合があります。

 

その他、決算期をまたぐ取引の場合は会計上、為替差損益が先行して計上される場合がある

決算期をまたぐ取引(翌期以降に販売)については、仕入決済を行い棚卸資産として計上したものの、売上計上の時期が翌期となり、仕入決済にかかる為替差損益のみが先行して計上され経常利益に反映されます。

 

なお、下記の図解をご参照ください。