サステナビリティへの取り組みを加速します。

国内における乳製品の総需要量が生乳換算で約1,200万トンであるのに対して、国内の生乳生産量は約750万トンであり、その差は約450万トンとなっています。当社の乳原料・チーズ部門は、この国内における需給ギャップを埋めるために不可欠な乳製品原料の輸入販売を担っています。
国内の乳製品市場は、生産年齢人口の減少や少子高齢化などの影響によって今後の拡大が見込みづらい状況にありますが、近年の食品業界においては「健康」が世界的なトレンドになっており、「準完全栄養食」といわれる牛乳にとって追い風となるものだと思います。例えば、牛乳に含まれている豊富なたんぱく質(ミルクプロテイン)に対する注目が高まっているため、牛乳には将来的な可能性が多く残されていると認識しています。
一方で、世界の生乳の供給は、気候変動などの影響によってほぼ頭打ちになっており、日本においても酪農家が減少し、生乳生産量は減少していくと見込まれています。これらの生産および輸入における状況は、日本市場向け乳製品の供給確保というラクト・ジャパンの使命を果たしていく上でのリスクである一方で、大きな機会でもあると捉えています。

 

気候変動による酪農・畜産業への大きな影響や新型コロナウイルス感染症によるパンデミック、さらに昨今ではウクライナや中東での紛争などの地政学的リスクと、世界情勢はこれまでの5年、10年では想像もできなかった大な変化が生じています。
そのような中で、私たちラクト・ジャパンはグループ全体でサステナビリティへの取り組みを積極化しています。
 

取り組みにおいては従業員の意識向上が重要になりますが、昨今は販売先からサステナビリティに関する課題解決を求められるケースが増えており、業務において不可欠なものになりつつあります。これは、当社のサステナビリティ推進においても非常に良い環境変化だと認識しています。
これまで、ヨーロッパ・オセアニアを中心とした仕入先がクリーンエネルギーやカーボンニュートラルなどのサステナビリティ推進をリードしてきました。しかし、昨今では日本の食品メーカーの取り組みが進んでおり、国内の消費者も商品を選ぶ際の評価基準になる時代が目前まで迫っていると感じています。
 

当社は、新たな経営理念と長期ビジョンを実現するために、ESG目標として6つのマテリアリティを設定しました。今後は従業員一人ひとりがサステナビリティ推進を商機の一つと捉えて、営業活動などに生かしていくことが重要であり、それが時代の要請でもあると私は考えています。
また、業務においては、自社や自分自身が担っている社会的な役割を突き詰めて考えることも大切です。ラクト・ジャパンを設立する際、創業メンバーの中で特に深く検討し、議論したのが、これから自分たちが担うべき役割と機能についてでした。毎日仕事に没頭していると、自分たちの役割に対する意識が薄くなってしまうこともあります。そのような中で、すべての従業員がマテリアリティを拠り所とし、皆でマテリアリティを考えて、顧みることは、自社や個々の従業員はもちろん、社会全体の持続的な成長を実現していく上で非常に大きな意義があると考えています。
さらに、具体的な事業活動としては、クリーンエネルギーを活用している仕入先とサステナビリティ意識の高い販売先をマッチングする取り組みも生まれつつあります。マッチングを行う上では、クリーンエネルギーやカーボンニュートラルなどの知識が求められるため従業員の意識向上や知識拡大にもつながります。そうした個々の取り組みを着実に実行していくことで、会社全体でのサステナビリティ推進を加速させていきたいと考えています。
組織面においては、全社横断的なメンバーで構成するサステナビリティ推進タスクチームを設置し、同タスクチームを中心に社内一体での取り組みを進めています。個々の取り組みの経過については経営会議で報告され、案件によっては取締役会で審議することもあります。
 

私は社長に就任して以来、将来にわたって持続的に成長・発展する企業への変革に向けて、知恵を絞り続けており、2020年の年頭所感では、全従業員に「100年企業を目指そう」と呼びかけました。
いわゆる「100年企業」は、市場や取引先と継続的なコミュニケーションを取っていること、創業の理念を守りつつ時代の変遷に合わせて自己改革を続けていること、グローバルに事業を展開していることの3要素を持ち合わせているという分析がありますが、ラクト・ジャパンには、これらの要素を達成する力が十分に備わっていると考えています。
私たちラクト・ジャパンは、未来の「100年企業」を目指して、新たに設定した6つのマテリアリティを具体的な活動に落とし込んでいくことで、社会とともに、そして、ステークホルダーの皆さまとともに、持続的な成長を実現していきます。