2018年10月乳製品情報

脱脂粉乳・全脂粉乳情報

欧州産脱脂粉乳相場は、上昇を続けていたものの急激に下落。脱脂粉乳の価格上昇をみて、一時的に需要が鈍化したことが要因と考えられる。オセアニア産脱脂粉乳相場は先月比較で若干下落しているものの、製造者は全脂粉乳の製造を優先しており、価格競争力は欧州産、米国産と比較すると弱くなっている。ニュージーランド(NZ)では天候に恵まれたことにも後押しされ、オフシーズンではあるが6~7月の生乳生産量は過去最高を記録。好調な滑り出し。

 

バター情報

欧州の乳脂肪相場は、依然として他主要産地と比較すると大きな値差があるものの、9月に入り軟化している。要因として、天候改善によって生乳生産の回復の兆しが見えたことや、熱波による欧州でのバター消費の減退、相場高騰を見込んだバター在庫の放出などが考えられる。オセアニアでは、今後春先から夏場にかけて生乳生産量が増えていくと見込まれ、供給余力は十分にでてくると予想する。米国においては、バター生産量も昨年よりも多いが、国内外からの需要も強く、バランスの取れた状態である。

 

カゼイン情報

カゼイン相場は、横ばいから徐々に上向いている。欧州における生乳生産量の低下により、カゼイン生産自体も予想より減少。今後、欧州の供給が回復するまでカゼインの供給量が一時的に低下することが予想され、相場も堅調と思われる。また、ニュージーランド(NZ)においても、カゼイン在庫水準は低下している。今後のカゼイン相場については、NZの生産量がどのように進むかがカギとなる。

 

チーズ情報

米国内では生乳生産量が依然として好調で、8月の生乳生産量が前年同月比1.4%増となっているが、チーズの需要増により、7月末から8月末にかけてチーズ在庫量が24,000トン減少している。その内アメリカンタイプのチーズ在庫量の減少が大きく、2004年以降最大の減少量となっている。

 

ホエイ情報

米国産ホエイパウダー相場は引き続き上昇傾向で推移している。米国内、海外からの引合いは堅調であるが、前月まで頻繁に行われていたスポット取引は落ち着きを見せている。欧州産ホエイパウダーの相場は前月と同水準で推移している。現状は需要を補うだけの供給はできているものの、欧州域内で長らく続いた干ばつの影響で、供給が不安定となるのではとの懸念も高まっており、今後も相場の動きに注意が必要である。

 

乳糖情報

欧州産乳糖相場は上昇している。中国が米国の乳糖に対して報復関税をかけており、今後中国のユーザーから欧州産乳糖の引合いが増加することが考えられ、欧州産乳糖相場は堅調に推移すると予想される。米国産乳糖相場も依然として堅調。米国内の在庫がタイトであることから、一部のユーザーからは代替品として別の甘味料を探す動きも出ており、一時的に需要が弱まる可能性がある。しかし、育児用粉乳用途や脱脂粉乳のたんぱく調整用途での乳糖需要は強く、米国産乳糖相場についても引き続き堅調に推移すると予想される。

 

国内情報

農林水産省が発表した2018年8月の全国の生乳生産量は60万6,791トンで前年同月比1.0%増となり、11ヶ月連続で前年を上回った。北海道では生産量が増加したものの、都府県では30カ月連続で前年対比減産となっている。今夏の記録的猛暑の影響で特に都府県での生産量が減少している中、台風21号の影響で生乳の輸送がストップし、需給をひっ迫している。猛暑、台風、震災が今後の需給にどのような影響があるか不透明な部分が大きく、今後の状況を注視する必要がある。

2018年9月乳製品情報

脱脂粉乳・全脂粉乳情報

欧州産脱脂粉乳相場はじりじりと上昇している。それでも価格はいまだ製造者にとって魅力的ではなく、利益率の良いチーズの生産を優先する傾向がある。優先度が低いことに加え、季節的要因や天候不順で予想よりも生乳を確保できなかったことが価格の上昇に繋がったと考えられる。8月の政府介入在庫の落札価格は現相場の影響を受けて年内最高値となった。欧州及び米国産の脱脂粉乳相場が上昇したことでオセアニアを含めた主要生乳生産地の価格差は縮まった。

 

バター情報

欧州の乳脂肪相場は8月に入り再上昇した。欧州では生乳生産のピークを過ぎており、これから年末に向けて需要が一層強まっていくことを考えると、バター相場は高値圏に張り付くか、さらなる上昇の可能性もあると予想する。7月の米国産バターの在庫量は前月から8,400トン減少した。背景には熱波の影響でアイスクリーム需要が例年より強まった結果、バター製造に必要な乳脂肪がアイスクリームの製造に向けられたことが挙げられる。

 

カゼイン情報

カゼイン相場は概ね横ばいに推移した。期近分を既に確保している需要者が多く、引き合いは落ち着いている。この先搾乳シーズンを迎えるニュージーランド(NZ)では生乳生産量の増加とともにカゼイン生産も増えることが予想される。一方、EUにおいては粉乳生産が優先され、引き続きカゼイン生産量は限定的となることが考えられる。NZの生産状況次第で相場の上昇も考えられるため注視したい。

 

チーズ情報

1990年に約1,140万トンであった世界のチーズ生産量は、現在では2,000万トンを超えるとされており、2025年までにさらに25%増の2,500万トンになると見込まれている。チーズの生産量は欧州及び米国が全世界の約70%を占めているが、2025年には65%まで下がり、インド、中東、南米などのシェアが増えると予想されている。

 

ホエイ情報

今月も米国産ホエイパウダーは米国内外からの引き合いが堅調で、需要が供給を上回っている。USDA(米国農務省)は同商品の6月末の在庫量が前年同月比13%減と発表している。一方で、輸出量はNACC(同省全国農業統計局)が発表しており、1月~6月の輸出量は前年同期比22%増であった。輸出量の約40%が中国向けであり、米中貿易摩擦による影響は限定的であるが、今後中国向けの輸出量が減少すれば、米国産ホエイパウダーの相場に影響が出るであろう。

 

乳糖情報

好調なチーズ生産を追い風に欧州産乳糖の供給は安定している。需要面ではたんぱく調整用途の他、脱脂粉乳製造用途の消費が好調で、結果として欧州産乳糖相場は緩やかに上昇している。米国産乳糖相場も上昇している。乳糖需要は強く、安定しているものの、乳糖の生産は優先度が低く、生産量が減少傾向にあるためである。米国内在庫はかなりタイトになってきている。

 

国内情報

農林水産省が発表した2018年7月の全国の生乳生産量は61万6,474トンで前年同月比1.0%増となり、10ヶ月連続で前年を上回った。今夏の酷暑は酪農家及び乳業メーカーに大きな打撃を与えている。連日の暑さにより乳牛死数が前年比を上回る酪農家も多く、暑熱ストレスの影響で搾乳量も落ち込んでいる模様である。生乳生産量の急激な落ち込みにより一部の乳業メーカーでは牛乳の出荷制限を行うまでに至った。

2018年8月乳製品情報

脱脂粉乳・全脂粉乳情報

欧州産脱脂粉乳相場はほぼ横ばいに推移している。脱脂粉乳のEU政府介入在庫は未だ27万トン程度残っていて余剰感がある状況である。しかしながら、欧州は5月下旬からの暑さと雨不足により生乳生産に影響が出る可能性があり、脱脂粉乳相場にも影響が出ることが懸念される。オセアニア産脱脂粉乳相場に大きな変動はなかった。欧州産や米国産と比較すると価格は高く、競争力に欠ける状態が続いている。

 

バター情報

欧州のバター相場は依然高いレベルではあるが、乳脂肪需要が落ち着いてきており、短期的には軟調推移が継続する可能性が高い。しかしながら、天候不順に伴う生乳の減産や今後のクリスマス需要を考えると、年末にかけて相場が上昇することも考えられる。オセアニアでは製造者の在庫が潤沢でないものの需要は落ち着いており需給バランスは安定している。米国内ではバター在庫が潤沢である。好調な生乳生産により通常6月以降は減少していくバター在庫が今年は7月も積みあがっている。

 

カゼイン情報

カゼイン相場はやや軟調に推移している。欧州ではカゼイン生産が比較的安定しているが、ニュージーランド(NZ)はオフシーズンのため、生産量は限定的だ。EUの天候不順が継続すれば生乳の減産によりカゼイン生産も減少する可能性が出てくる。一方でNZはピークシーズンに向けて生乳の増産が期待されており、これらを鑑みると今後もカゼインの生産バランスは保たれ、急激な相場変動は考えにくいと言える。

 

チーズ情報

米中貿易摩擦によりチーズ市場へ影響が出ている。米国が中国製品に対して340億米ドル規模の追加関税措置を発動したことを受けて、中国政府は報復関税として同規模相当の米国製品に対して25%の追加関税を課すことを発表した。乳製品も対象品目となっている。対米報復関税措置を取っているメキシコやカナダは大部分をEU産チーズへシフトしており、ここに中国も加わる模様だ。米国内での需要鈍化も重なり、米国産チーズの在庫量は過去3年間で最も多い水準となっている。

 

ホエイ情報

米国内外からの需要が旺盛な米国産ホエイパウダーの相場は引き続き上昇している。米中貿易摩擦に伴う中国の追加関税発動によりホエイパウダーにも25%の追加関税が課されたが、依然中国からの需要は根強く、米国から中国向けの輸出は継続している。欧州産ホエイパウダー相場は僅かに上昇した。欧州域内の需要は落ち着いているが、米国産相場に牽引されて、相場は上昇傾向にある。

 

乳糖情報

欧州産乳糖相場は僅かに上昇した。好調なチーズ生産を背景に乳糖の供給は安定している。需要面では1月~5月の蛋白調整用途での乳糖需要が好調であった。今後は欧州の天候不順の影響を受けて乳糖の生産増は限定的と思われる。米国産乳糖相場は堅調である。5月の乳糖生産は微減している一方で、需要は変わらず好調であった。今後も秋冬商材向けに需要が高まることが考えられ、米国産乳糖相場は堅調推移が続くものと予想される。

 

国内情報

農林水産省が発表した2018年6月の全国の生乳生産量は62万866トンで前年同月比1.1%増となり、9ヶ月連続で前年を上回った。テレビ番組の影響は一段落したが、連日の猛暑の影響から都府県の生乳は減産傾向にあり生乳需給は逼迫している。例年は夏休みに伴い学校給食需要が落ち着くため逼迫感が一服するが、今年は油断を許さない状況にある。この暑さは続くと予想されており、さらに生乳生産量が減少する見通しだ。