中期経営計画のもとで、 既存事業の強化を図るとともに、
次なる成長に向けた取り組みを強化いたします。

当社グループは2023年、10年先を見越した長期ビジョン「LACTO VISION 2032」を策定し、その達成を目指して中期経営計画「NEXT-LJ 2025」を推進しております。「NEXT-LJ 2025」の初年度である2023年11月期は、国内市場がコロナ禍の影響から回復する一方で、インフレ進行により食品需要が伸び悩み、またアジア市場において、中国の景気低迷の影響による販売数量の減少、原料価格上昇によるチーズ製造販売部門の利益率低下などの要因で、業績目標に対して売上高、経常利益ともに未達となりました。事業環境がかつてない逆風のもとであったとはいえ、反省点の多い1年でした。

 

しかしながら、従業員の中期経営計画に対する意識は従来以上に強く、最終年度の目標達成に向けて各部門とも初年度の遅れを取り戻すべく、成長に向けた施策推進の気運が高まっております。特にPLのみならずBSを意識した、より効率を重視する経営の強化という意識が浸透したと思います。
経営層ならびに従業員の新たな意識のもとで、まずは2年度目の2024年11月期の目標達成に向かって邁進します。

 

中期経営計画における経営方針の成長シナリオは、「ベース」、「グロース」、「チャレンジ」の3つに整理しています。まず、「ベース」である既存事業においては、事業環境を適切に見極めながら、工夫を凝らして進化を続けていきます。次に、「グロース」としては、東南アジアにおけるプロセスチーズの製造・販売を核として、アジア事業を拡大させていきます。そして、「チャレンジ」としては、健康につながる機能性食品原料事業の展開など次世代ビジネスの構築を推進していく計画です。
私は、以前から世界的な市場の飽和や1995年をピークとする国内の生産年齢人口の低下に危機感を持ち、将来にわたって持続的な企業価値の拡大を実現していくためには、ラクト・ジャパンが自ら需要を創造していかなければならないと考えていました。中期経営計画の「ベース」、「グロース」、「チャレンジ」には、私自身のそうした想いも反映されており、特に「グロース」、「チャレンジ」においては自ら需要を創造するための具体的な道筋を提示しています。
 

新たな需要の創造という点において、当社が展開する東南アジアでのプロセスチーズの製造販売は、その成功例の一つだと認識しています。当社が同事業を開始した当時、東南アジアにおける業務用プロセスチーズの市場は無いに等しい状態でした。そうした中で、ラクト・ジャパンがフロントランナーとなり、多くの苦労や困難を乗り越えながら新たな市場を創造し、拡大してきました。今後も東南アジアにおける成功例に満足することなく、新たな市場創造に向けた取り組みを加速させていきたいと考えています。

 

また、経営の健全性、透明性、効率性を確保する基盤となるコーポレートガバナンスについては、これまでその強化・高度化に注力してきました。この背景には、強固なガバナンスの確立こそがラクト・ジャパンの持続的成長の基盤になるという私自身の強い認識と意思があります。今後もガバナンスの重要性を強く認識し、その徹底とさらなる高度化に努めていきたいと考えています。